歴史
エコビレッジの歴史
エコビレッジ は、地球環境に優しい持続可能なコミュニティのことを指します。その概念は比較的新しいものですが、その思想自体は古くから存在していました。
古代の農村共同体や先住民の村では、人々は地元の資源を活用し、自然と共生しながら生活していました。
エコビレッジのルーツ
エコビレッジの考え方は、以下のような思想や運動の影響を受けています。
19世紀のユートピア運動
産業革命後の都市化や環境破壊に対する反動として、19世紀には「ユートピア社会主義」の考えが生まれました。
たとえば、ロバート・オーウェン(イギリスの社会改革者)が作った「ニューハーモニー」や、「ファランステール」(フーリエ主義コミューン)などがありました。これらは現在のエコビレッジに似た「共同体的な暮らし」を目指していました。
1960〜70年代のカウンターカルチャー運動
20世紀後半、特に1960〜70年代のヒッピー文化や「バック・トゥ・ザ・ランド(自然回帰)」運動が、エコビレッジの直接的なルーツとされています。
この時期、アメリカやヨーロッパでは、都市を離れ、共同生活を営む「コミューン(共同体)」が数多く誕生しました。
現代のエコビレッジ運動
現代的な「エコビレッジ」という概念が広まったのは、1990年代に入ってからです。
1991年、環境運動家の**ロス・ジャクソンらが中心となり、デンマークで「Global Ecovillage Network(GEN)」を設立しました。
これが現在のエコビレッジ運動の基盤となっています。GENは、世界中のエコビレッジをネットワーク化し、情報共有や支援活動を行っています。
代表的なエコビレッジ
この時期、多くのエコビレッジが設立されました。
- フィンドホーン(スコットランド)
1960年代に始まった持続可能な共同体で、スピリチュアルな要素も強い。 - クリスチャニア(デンマーク)
1971年に誕生した自治的なコミューン。 - アーネストリー(アメリカ)
994年に設立されたオフグリッド・コミュニティ。
日本でも、1990年代以降エコビレッジの概念が広まりました。
木の花ファミリー(静岡県)は、農的な暮らしと共同経済を実践する代表的な共同体です。
これからのエコビレッジ
現在、エコビレッジは世界中に広がり、環境問題や地域再生の手段として注目されています。
特にパーマカルチャー、再生可能エネルギー、循環型経済などと組み合わせることで、より持続可能なコミュニティを目指す動きが強まっています。
また、都市型エコビレッジや、テクノロジーを活用した「スマートエコビレッジ」など、新しい形も登場しています。